入院生活の必需品

転院して2日目の朝、特別個室からの引っ越しが突然決まった。

普通の個室への引っ越しになる。当然フロアも変わるのでS看護師に看護されることはもうないだろう。

特別個室のアメニティ関連を懐にいれつつ(通常買わないといけない日用品が揃っているのだ)、看護師さんに荷物運びを手伝ってもらい個室へ移動した。

やはり普通の個室は病院色が強い。

特に床が絨毯ではないってだけでも景色がかなり違ってくる。

とはいえ、個室ってだけで贅沢なのは変わりがない。

相変わらず出費は痛いし、個人的には4人部屋でも全く問題ないのだが、家族の勧めにより個室にした。

手術経験者から手術前後は個室で気兼ねなく過ごしたほうがいいとのアドバイスをもらったのである。まあ手術が終わって落ち着いたら、4人部屋に移ればいいかな、そう考えた。

そういえば、T病院には唯一と言っていい弱点があった。

僕の場合、転院ということもあり入院してから手術まで10日以上の猶予があった。なので、術後の入院を含めて考えると、計3−4週間の入院が見込まれていた。

そんな入院生活、エンターテイメントがなしに耐えきることができない。僕の場合、テレビをあまり見ないタイプなので、インターネットが必須なのであるが、なんとT病院にはwifiが飛んでいないのである。(なんてオールドスクール!)

インターネットがあればエンターテイメントにことかかない時代になった今、インターネットがないというのは大問題である。と、そこで行き着いたのがモバイルwifi。

もしみなさんの病院にインターネットがなかったら、モバイルwifiのレンタルをお勧めする。僕がレンタルしたのはソフトバンクの501HWというものだったのだが、使用容量無制限であったので容量を気にせず使用できた。

レンタルの値段は選ぶ会社やプラン、時期によって変わって来るが、僕の場合は1ヶ月で5000円ほどであった。

つい10年前には、モバイルwifiで無制限にどこでもインターネットできる時代が来るなんて思ってもみなかった、文明の発達に感謝である。

そしてなによりNetflix (ネットフリックスAmazonプライム・ビデオなど、定額で見放題のサービスには感激する他ない。これらのサービスは意外とまだ世間の認知が低いのはあるが、和洋の映画、ドラマ、番組が見放題なのである。

ネットフリックスだと月額650 – 950円で見放題、Amazonプライム・ビデオだと月額400円で見放題である。

両方とも同じようなラインアップではあるが、ネットフリックスは洋物がより多く、Amazonは和物がより多いという印象。

Amazonの場合は、Amazonでの買い物に送料がかからなくなったり、音楽を無料で聴けるサービスや本が読み放題になるサービスもついて、お得感は相当高い。

Amazonプライム・ビデオとネットフリックス共に、1ヶ月の無料体験も提供しているので(2017年10月現在)、映画やドラマが好きな人は試しに一度使われることをオススメしたい。

僕は入院中このネットフリックスとAmazonプライム・ビデオを使い倒していた!

さて、話を戻そう。入院して2−3日で、CT、MRI、胃カメラなど全ての検査を終えた。胃カメラは初めてだったのだけど思ったより苦しくなかった。

というより、鎮静剤の効果がてきめんで、ほとんど記憶がない。カメラが入ったと思ったら終わってた、そんな感じである。

胃カメラに関しては、僕は口にカメラを突っ込まれることでそれなりの苦しさを伴うという事前の情報を得ていたのだが、まったくそんなことはなかった。医療のペインコントロール(疼痛管理)はすごく進化しているらしい。

大腸がんなのに胃カメラ?と思った人もいると思うのだけど、胃カメラを飲んだ理由は、上行結腸のがんが胃の真下についている十二指腸にどの程度浸潤しているか見るためとのことだった。

さてその結果なのだが、、、O医師のアシスタントでここからずっとお世話になり続けるN医師から報告があった。

ちなみにN医師は見た目30歳前後と若めの医師であるが、いつも平静を保っているクールガイである。忙しい主治医の代わりによく病室へ顔をだしてくれてすごく頼りになった。

「胃カメラで十二指腸を見ましたが、少なくとも十二指腸の内側までは浸潤していないですね。」とN医師。

僕はひとまずホッとした。まだ十二指腸には浸潤していない可能性が残ったからだ。

続いてそのN医師からPET CTを追加で受けてもらう話があった。その時はPET CTを知らなかったが、僕はとりあえず了承の返事をしたのを覚えている。

PET CTとは、簡単に説明すると、がん細胞がブドウ糖を取り込む性質を利用して、ブドウ糖に似た放射性物質の薬剤を体内に注入しCTを取る検査。PET CTでスキャンすると、がん細胞に取り込まれたその薬剤の集積を見ることができ、体のどこにがん細胞があるか確認することができる。

ある程度のサイズのがん細胞にならないと集積が確認できないらしいが、僕の場合は他に転移がないか念のため確認しておく、という検査目的だったのだろうと思う。

放射性物質を体内に注入するのは多少抵抗はあったが、四の五の言っていられないというのが正直なところであるし、これで体内にあるがん細胞の見逃しを防げるのであれば、お安い御用である。

とは言えPET CTの日、僕は少し緊張していた。もうこれ以上なにか発見されるのはごめんだった。いつも通りお守りを握りしめ、僕は核医学検査室へと向かった。

検査室へ入るとまずは小さな小部屋で放射性物質の薬剤を腕から注入され、そのあと薄暗い部屋へと案内された。少し広めの部屋にリクライニングシートが10台ほど置いてあった。ここで他の人と一緒に薬剤が体に行き渡るまで安静にするらしい。

というのも、安静にしておかないと、筋肉を使った部分に薬剤が集積してしまうため正確な検査ができなくなるらしい。

事前の説明で、検査薬注入後おしゃべりをしていた人の検査結果例を見せてもらったのだが、なんと薬剤が口元に集積しているではないか。これが自分の身に起きたら精神的ダメージは大きい。

自費で受けると10万円くらいかかる検査が無に帰しただけでなく、「静かにしなさい」と幼稚園の卒園式のリハーサルで先生が子供達に言うようなレベルの忠告を守ることができていないということが、確たる証拠とともに他人にバレてしまっているのである。

検査結果を医師から聞いた際、患者さんも顔が真っ赤かになったことは想像に難くない。

さて、1時間ほどリクライニングシートでゆっくりしていると、ようやく検査室へ呼ばれた。検査自体も通常のCTとは違い、全身の撮影になるからか、体を動かさずに3−40分耐えるという修行のようなものであったが、難なくクリア。

検査は全て終わった。あとは主治医から検査結果と手術の方針を聞くだけである。

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