町医者の限界:前編

最初に少しだけ僕の紹介をしておこう。必要ないかもしれないけど、これから読み進めるとき、ちょっとだけ人物像が頭に描けるように。

僕は海外生まれ東京育ち、身長は低めで自分で言うのも変だけど、どちらかといえばとっつきやすい風貌をしていると思う。海外生まれということもあり、ネイティブではないが、英語には慣れ親しんでいる。そして、これは結構がんの情報収集に役立った。あと、性格は内向的だけど、仕事上海外の人とやりあうことが多いので、自己主張はキチンとするようにしている。そんなところ・・・かな。

さあ、大腸がんの話をしよう。まずはどうして大腸がんが見つかったか、そこから始める。結論から言うと、虫垂炎を伴う(と思われる)腹痛が2ヶ月続いたことが発見に繋がったのだ。でも、なぜ2ヶ月も腹痛を放置していたのか、と思われる方もいると思うけど、放置していたわけじゃない。僕は、町医者の限界を知らなかったのだ。

2016年8月上旬。最初は、筋肉痛のような痛みが右下腹部に現れた。1週間経過しても痛みが引ず、むしろ悪化。そう言えば便通が最近なかったな、と思い久々に浣腸をして見たが便は出ず、腹痛を我慢しながら床についた。

しかし腹痛は僕を眠らせてくれなかったのだ。

その夜、お腹の臓器が波を打つような強烈な痛みが30−40分おきに襲ってきたのだ。これが虫垂炎ってやつなのか、と虫垂炎の経験がなく想像するしかない僕はそう思った。あの時の苦しみようであれば、もし家に誰かがいれば救急車を呼んでくれたであろう。

しかし、僕は一人暮らしでかつ救急車を呼ぶ気恥ずかしさから、我ただ耐えるのみ、という間違った大和魂的な判断を下したのであった。

”もし”、この時CTがあるような大きな病院の救急センターに運ばれていたらもっと早く発見されたかもしれない、そう考えることもあった。

でも、がんとの戦いは”もし”を考えても何も変わらないのだ。”いま”ある情報の中で納得いく選択をする、それしかできることはない。

そして大事なことは、”いま”手に入る情報をできるだけ集めて理性的に判断することだと思っている。

僕自身こういう風に考えられるようになったのはある本がきっかけだった、この話はまた後ほど。

さて、結局一睡もできないまま、朝一番で体をくの字にしながら消化器内科に駆け込んだ。時はお盆、だけど奇跡的に近所の消化器内科クリニックが開いていた、しかもその病院のS医師は消化器内科では有名な人らしい。

病院に入ると、受付ロビーにはS医師のテレビ出演時のキャプチャー画像が印刷され、医師のプロフィールとともに飾ってあった。そこには、間違いなく人格的にも素晴らしいだろうと思える柔和な顔の医師が写っていて、安心した。

朝一番ということもあり、すぐに診察室へ通された。先ほどロビーで確認したままのS医師が座っている。そして、優しい声で丁寧に診察を始めてくれた。

僕が一通り状況を説明すると、触診、超音波検査、レントゲン、血液検査を行ってくれた。

超音波検査とレントゲンでは異常が見つからなかった。そして嘔吐の症状がなくおならも出るということもあり腸閉塞の可能性は低いらしい。明日判明する血液検査の結果次第だが虫垂炎かもしくは何かしらの腸炎だろうということで、抗生剤の点滴を打ってもらい、抗生物質と痛み止めの飲み薬をもらった。

そして明日血液検査の結果を聞きに来ることと、何かあったら躊躇せず救急車を呼ぶこと、を告げられ、家路についた。痛みは少し楽になっていた。

次の日、血液検査の結果を聞きにS医師の元に訪れると、炎症反応(CRP)の値がやはり高く、虫垂炎か腸炎の可能性があるとのことだった。2週間後、腹痛はなくなり、8月下旬には全快した。

– ちなみにS医師の診断や検査内容はうろ覚えの箇所もあるため、何か間違った記載があるとすれば僕の間違いです。-

しかし、9月中旬に入りまたもや腹痛がぶり返してきた。右腹部に恒常的な圧痛がある。前回と違い動かさなければ痛みはないが、体を動かすと痛いのだ。便は軟便。生活に大きな支障はないが、1日だけ赤い水下痢が出てきたため、S医師のもとを再び訪れた。

前回とほぼ同じ薬を処方される。そしてこの時は憩室炎かもしれないとの見立てであった。憩室炎というのは、ストレスなどの要因で大腸の一部が外側に膨れる憩室というものができ、その憩室に便などが滞留してしまうことによって炎症が起きる、というものらしい。

大腸がんではないと思うけど、腹痛が落ち着いたら原因を探るために内視鏡で検査しましょうね、とS医師に言われたが、実現することはなかった。というのも、結局ここからさらに1ヶ月程腹痛は治まらず、S医師の元へ数回足を運ぶも、大腸がんの可能性は無いけど原因がわからない、といったはっきりしない診断と抗生剤による治療が繰り返されただけだったのだ。

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